本日の毎日新聞夕刊に大阪府労働情報総合プラザの記事が載りました。
http://mainichi.jp/kansai/news/20080516ddf014040019000c.html
本紙では写真入りです。
大阪府労働情報総合プラザ:利用者4倍…民間委託の成果、無に? 府PT案では廃止 ◇社会・労働の専門図書館−−利用者が4倍に 社会・労働関係の専門図書館「大阪府労働情報総合プラザ」の利用者数が00年から増え続け、4倍になった。府の直営から財団法人大阪社会運動協会(社運協)の委託運営になって、スタッフの専門性が生かされた。本や資料は、内容を知る人がいて初めて活用できるということを実証したが、大阪府の財政再建プログラム試案(PT案)では「今年度に廃止」とされている。【佐々木泰造】
プラザは大阪市中央区の府立労働センター(エル・おおさか)にある。来館者数は府の直営だった99年度に3515人だったが、06年度は1万4051人になった。
社運協は民間の公益法人で、『大阪社会労働運動史』の編集・発行などのために労働組合、労働福祉事業団体、研究者、弁護士らが78年に設立した。府の補助金を得て全8巻の刊行を99年に終えた後、収集資料を一般公開するため、00年にプラザの運営を府から受託して、同じくエル・おおさかにある資料室を一体で運営している。
プラザには、人事・労務管理の実務書、労働関係の専門書などの図書約2万5000冊、新聞や『労働判例』などの雑誌計約1万8000冊がそろい、社会保険労務士、弁護士、中小企業の労務担当者、労組職員、研究者、学生らが利用している。
一般の図書館にはない企業の広報誌、労組、NPOなどの機関誌を見るために遠方から訪れる人もいる。労働安全・技術講習など研修用ビデオ(約600本)の貸し出しも多い。
社運協の所蔵資料は図書約4万5000冊、新聞・雑誌約4万7000冊、視聴覚資料70本。00年からプラザを通じて閲覧・貸し出しをしている。06年には資料室が「大阪社会運動資料センター」となり、書庫に入ることも可能になった。
大半の資料は寄贈で、手書きの組合日誌やガリ版刷りのビラなど、公立図書館、大学や研究機関にもない希少性の高い一次資料が豊富にある。総評大阪地評や大阪同盟が保存していた資料はそっくり受け継いでおり、幹事会議事録などの内部文書がそろっている。
◇三池争議や沖縄復帰、貴重な資料収集 1930年代の大阪の映画館従業員の組合旗、59〜60年の三池争議で、全国から動員された労組員に暴力団などから身を守るために配られたこん棒(凶器準備集合罪に問われないようキセルとして加工されている)などの現物資料も展示している。全体のほぼ3分の1は全国でもここにしかない資料だ。
大阪府では外郭団体ではなく民間団体に運営が委託されたのは初めてだった。現在は、専門知識を持つ社運協の職員3人(2人は司書)と週2日のアルバイト1人が、プラザと資料センターの貸し出し、レファレンス(照会)、資料収集、整理などをこなしている。府が直営していたときより図書館業務に携わる人数は増えて、人件費は減っている。
インターネットの社運協のサイトにプラザのページを作り、蔵書を検索できるようにしたことも利用者増につながった。
英語のサイトも設けており、近年、海外で日本の労働史が注目されていることもあって、米国デンバー大学の研究者が1年間通い続けるなど外国人研究者の利用もある。
◇存続を求める声次々と 書棚や展示用器具に事務所の移転で出た廃品を利用し、館内の暖房が切れる4月、11月の冷え込み時にペットボトルの湯たんぽを使うなど、低予算・人件費で運営する工夫もしてきたが、PT案では、年間約2000万円の府の支出を削減するため「プラザは廃止」となっている。
プラザの運営委託がなくなれば、資料センターの継続も難しい。
研究者からは「経営者団体や労働組合の雑誌などは専門図書室以外で体系的に閲覧することは不可能。プラザがなくなれば、関西の大学の研究者はわざわざ東京に行かざるをえない」「労働関係の資料の収集は各団体・組織との信頼関係がないと、大規模図書館でもできない」「1950〜60年代の沖縄復帰運動に呼応した大阪でのさまざまな活動は社運協の資料でしか知ることができない」といった存続を求める声が寄せられている。
毎日新聞 2008年5月16日 大阪夕刊
|